バナーやチラシ、店頭POPの画像を生成AIで作る会社やお店が増えています。短時間でたくさんの案を出せるのは大きなメリットですが、その一方で「これ、AIで作ったのかな?」と気づかれる場面も増えてきました。
10月27日に発表された調査では、店頭の販促物を見て「生成AIで作られたかも」と感じたことがある消費者は65.2%にのぼりました。この記事では、この調査と日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の調査をもとに、消費者が生成AIの広告をどう受け止めているかを整理し、生成AIで広告を作るときの注意点を、公開前にチェックしたい5つのポイントとしてまとめます。
消費者は生成AIの広告にどう感じている?
店頭販促物:「AIかも」と感じた人は65.2%
店頭販促のサービスを手がけるSPinnoが、「生成AI」という言葉を知っていて、月2〜3回以上お店を利用する23〜65歳の224人に調査しました(2026年9月15日〜25日、インターネット調査)。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 販促物を見て「生成AIで作られたかも」と感じたことがある | 65.2% |
| そのとき企業・店舗への印象が「良くなった」 | 37.7% |
| 「変わらなかった」 | 40.4% |
| 「悪くなった」 | 21.9% |
全体では「良くなった」が「悪くなった」を上回りました。ただし、この調査は実際に生成AIが使われていたかを確認したものではなく、回答者が「AIで作られたのでは」と感じた経験にもとづく結果です。
年代・性別で受け止め方が分かれる
同じ調査では、属性によって印象に差が出ています。
- 20代では「印象が良くなった」が69.0%
- 「印象が悪くなった」は男性13.0%に対し、女性は29.9%
若い世代ほど前向きに受け止める一方で、女性では3割近くが印象を下げています。ターゲットによって、同じ表現でも受け止め方が変わる可能性があるということです。
ネット広告:生成AI広告に「ネガティブ」な印象が57.6%
JIAAが2026年2月に、インターネットをほぼ毎日使う15〜69歳の3,591人に行った調査では、生成AIを使った広告について次のような結果が出ています。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 生成AIの広告活用は「条件が整えば活用してよい」 | 52.0% |
| 「活用すべきではない」 | 43.7% |
| 今の生成AI広告にネガティブな印象 | 57.6% |
| 理由「本物らしさがない/不自然」 | 26.4% |
「使うこと自体がダメ」というより、「条件しだい」と考える人が多いことがわかります。では、その「条件」とは何でしょうか。
消費者が企業に求めている対応
2つの調査で、消費者が求める対応はかなり似ています。
| 調査 | 上位の回答 |
|---|---|
| SPinno(店頭販促物) | 生成AI使用の明記 29.0%/文字・文章・画像の不自然さの確認 28.6%/商品画像が実物と大きく違わないかの確認 28.1%/著作権・肖像権などの確認 27.7%/価格・商品内容など掲載情報の正確性の確認 26.8% |
| JIAA(ネット広告を受け入れやすくする条件) | 生成AI活用の明記 37.6%/法律・ガイドラインによる規制 30.4%/実在人物・キャラクターの許諾明記 26.8% |
どちらも「AIを使ったことを明らかにする」「不自然さや権利関係をきちんと確認する」が上位に入っています。ここから、公開前のチェックポイントを5つに整理しました。
生成AI広告の注意点:公開前にチェックしたい5つのこと
① 商品画像が実物と大きく違わないか
いちばん気をつけたいのがここです。生成AIで作った画像が実際の商品より立派に見えてしまうと、景品表示法の「優良誤認表示」にあたるおそれがあります。消費者庁は、商品の品質や規格などについて、実際のものよりも著しく優良であると示す表示を禁止しています。料理のボリュームや商品のサイズ感、素材の質感などは、実物の写真と並べて確認しましょう。
② 文字・手指・背景などに不自然な部分がないか
生成AIの画像は、文字が崩れていたり、手や指の形がおかしかったり、背景の物が溶けたように見えたりすることがあります。JIAAの調査でも「本物らしさがない/不自然」が理由の上位でした。公開前に、画像を拡大して細部まで見る工程を入れておきましょう。
③ 著作権・肖像権などの権利関係
実在の人物やキャラクター、他社のロゴに似たものが写り込んでいないかを確認します。使った生成AIサービスの利用規約で、商用利用が認められているかも事前に確かめておきましょう。判断に迷う場合は、専門家に相談するのが安全です。
④ 価格・商品内容などの情報が正しいか
画像の中に入れた価格やキャンペーン期間、商品名などは、生成AIが作った文章をそのまま使わず、必ず社内の正しい情報と照らし合わせます。数字の間違いは、そのままクレームや信頼低下につながります。
⑤ 「生成AIを使った」ことを明記するか検討する
2つの調査で、消費者が求める対応の1位は「生成AI使用の明記」でした。すべての広告に表記が必要とまでは言えませんが、人物のイメージ画像など誤解されやすい表現では、「画像はイメージです(生成AIを使用)」のように添えておくと、受け手の不信感を減らせる可能性があります。
社内で回すためのチェックリスト
上の5つを、制作の流れに組み込みやすい形にまとめました。そのままコピーして使ってみてください。
| チェック項目 | 確認する人 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 実物との差(サイズ・量・質感) | 商品担当 | 実物写真と並べて比較 |
| 文字・手指・背景の不自然さ | 制作担当 | 拡大表示して細部を確認 |
| 人物・キャラクター・ロゴの写り込み | 制作担当+責任者 | 目視確認、必要に応じて専門家に相談 |
| 生成AIサービスの商用利用の可否 | 制作担当 | 利用規約を確認して記録 |
| 価格・期間・商品名 | 商品担当 | 社内の正式な情報と照合 |
| 生成AI使用の表記 | 責任者 | 表現の内容に応じて判断 |
ポイントは、作った本人以外の目を必ず1回通すことです。生成AIは作業を速くしてくれますが、そのぶん確認の工程を省いてしまいがちです。チェックを仕組みにしておけば、スピードと信頼を両立しやすくなります。
AIと人の役割分担を決めておく
生成AIは「たたき台をたくさん出す」「配色やレイアウトのパターンを比べる」といった作業が得意です。一方で、最終的に何を伝えるか、実物と違わないか、ブランドらしいかを判断するのは人の役割です。
- AIに任せやすい:アイデア出し、ラフ案、背景素材、複数パターンの作成
- 人が担うべき:商品の見せ方の最終判断、事実確認、権利確認、公開の可否
社内に確認できる人がいない場合や、商品写真・メインビジュアルなど重要な部分は、プロのデザイナーやカメラマンに任せるのも一つの方法です。
生成AIの使い方や広告表現のルールを体系的に学びたい人は、書籍で基本を押さえておくのもおすすめです。
まとめ:生成AI広告は「確認の仕組み」で信頼を守る
生成AIで広告を作るときの注意点をおさらいします。
- 店頭販促物を見て「生成AIで作られたかも」と感じた人は65.2%。消費者は意外とよく見ている
- 印象は「良くなった」37.7%、「悪くなった」21.9%。ただし女性や属性によって差がある
- ネット広告では「条件が整えば活用してよい」が52.0%。条件しだいで受け入れられる
- 公開前に「実物との差」「不自然さ」「権利関係」「情報の正確さ」「AI使用の表記」の5つを確認する
- 作った本人以外の目を通すチェックの仕組みをつくる
生成AIは、うまく使えば小さなお店や少人数のチームでも、広告づくりのスピードを大きく上げてくれます。確認の仕組みをセットにして、お客さんの信頼を損なわない使い方を目指していきましょう。
参考にした情報
株式会社SPinno「店頭販促物に『生成AIで作られたかも』と感じたことがある消費者は65.2%」(PR TIMES、2026年10月27日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000033773.html
一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)「2026年インターネット広告に関するユーザー意識調査(定量)」(PR TIMES、2026年8月6日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000167016.html