朝晩の冷え込みが強くなってきました。この時期から気をつけたいのが、暖かい部屋と寒い脱衣所・浴室の温度差で体に負担がかかるヒートショックです。
消費者庁の資料によると、令和6年に浴槽での溺死・溺水で亡くなった人は7,776人。そのうち約95%が65歳以上でした。同じ年の65歳以上の交通事故死者数(2,103人)の3倍以上にあたります。
10月からは、東京ガスが幹事企業を務める「STOP!ヒートショック」プロジェクトが今シーズンの活動を始め、10月16日には脱衣所やトイレでの使用も想定した小型ヒーターも発売されました。この記事では、消費者庁が呼びかけている内容をもとに、自宅でできるヒートショック対策を「入浴前」「入浴中」「家族の見守り」の順に整理します。
入浴中の事故は冬に増える
消費者庁の資料では、東京消防庁のデータとして、令和5年に溺れる事故で救急搬送された65歳以上の人が460人だったと紹介されています。月別に見ると、多い月と少ない月の差がはっきりしています。
| 月 | 搬送人員 |
|---|---|
| 12月 | 85人 |
| 1月 | 78人 |
| 2月 | 62人 |
| 3月 | 55人 |
| 11月 | 42人 |
| 8月 | 5人 |
最も多いのは12月で、真夏の8月と比べると17倍です。11月から一気に増えるので、本格的な冬が来る前の今のうちに準備しておくのがおすすめです。
ヒートショック対策① 入浴前に「温度差」を減らす
消費者庁がまず挙げているのが、脱衣所や浴室を事前に暖めておくことです。あわせて、部屋ごとの温度差を温度計で確認することも勧めています。
温度計を置いて「見える化」する
「寒い気がする」という感覚だけでは、温度差はなかなか実感できません。リビングと脱衣所それぞれに温湿度計を置くと、どのくらい差があるのかがひと目でわかります。「STOP!ヒートショック」プロジェクトでも、「自宅のお部屋は18℃になっているか」などを確認するチェックリストづくりを進めています。
脱衣所を暖める小型ヒーターを用意する
脱衣所は狭く、コンセントの位置も限られがちです。置くなら、場所を取らないコンパクトさと、安全機能を重視して選びましょう。
たとえば、シロカが2026年10月16日に発売した「グラフェンコートヒーター すみポカ(SH-GC251)」は、幅約19×奥行約19×高さ約47cmの小型ヒーターです。最初の30分は強運転、その後は自動で弱運転に切り替わる「よび暖モード」があり、メーカーは脱衣所やお手洗いでの使用を想定しています。転倒・振動を検知すると止まる機能や、布がかかるなどの異常な温度上昇を検知して止まる機能も備えています。
脱衣所用ヒーターを選ぶときの4つのポイント
| ポイント | 確認すること |
|---|---|
| サイズ | 洗濯機や洗面台のすき間に置けるか。幅・奥行きだけでなく高さも測る |
| 安全機能 | 転倒時の自動停止、過熱防止など。子どもやペットがいる家庭は特に重視 |
| 立ち上がりの速さ | 入浴前の短い時間で暖めたいので、すぐ暖かくなるタイプが便利 |
| 消費電力 | 1,000Wを超える機種も多い。ドライヤーや洗濯乾燥機と同時に使うとブレーカーが落ちることもある |
脱衣所ではドライヤーを使うことも多いので、同じ回路で同時に使わないように気をつけましょう。たとえば先ほどのSH-GC251の消費電力は1,200W(50Hz)/1,150W(60Hz)です。
脱衣所でヒーターを使うときの注意
- タオルや衣類がかからない位置に置く
- 水がかかる場所や、浴室の中では使わない(取扱説明書で使える場所を確認)
- 延長コードのたこ足配線は避ける
- 入浴が終わったら電源を切る
ヒーターがなくても、浴槽のふたを開けてシャワーでお湯を張ると、湯気で浴室が暖まりやすくなります。
ヒートショック対策② 入浴前の過ごし方
消費者庁は、入浴前の過ごし方についても次のように呼びかけています。
- 入浴前に水分を補給する(入浴中も喉が渇いたらこまめに)
- 食後すぐ・飲酒後・薬を飲んだ後の入浴は避ける
- 同居している家族に「今からお風呂に入るね」と一声かける
特に「晩酌のあとにそのままお風呂」という習慣がある人は、順番を入れ替えるだけでも対策になります。
ヒートショック対策③ 入浴中に気をつけること
- 熱すぎるお湯・長湯を避ける:湯温と入浴時間は、温度計やタイマーで確認する
- 浴槽から急に立ち上がらない:手すりや浴槽のふちにつかまって、ゆっくり立つ
- 意識がもうろうとしてきたら、気を失う前に湯を抜く
「何度なら安全」という数字は体調や年齢によっても変わります。持病がある人や薬を飲んでいる人は、かかりつけの医師に相談しておくと安心です。
ヒートショック対策④ 家族の見守り
入浴中の事故は、早く気づけるかどうかが大切です。消費者庁は、同居している家族に向けて次のように呼びかけています。
- 入浴中は、こまめに声をかけて様子を確認する
- 入浴時間が長い、物音がまったくしないなど異常を感じたら、ためらわずに声をかける
離れて暮らす親がいる場合は、年末年始の帰省のタイミングで脱衣所の寒さや手すりの有無をチェックしてあげるのもいいですね。
トイレや廊下の寒さにも目を向けて
家の中の温度差が大きいのは、脱衣所や浴室だけではありません。夜中や早朝に暖かい布団から出て向かうトイレや廊下も、冬はかなり冷え込みます。シロカのSH-GC251も、メーカーは脱衣所とあわせてお手洗いでの使用を想定しています。
トイレに暖房器具を置くのが難しい場合は、廊下に出る前に1枚羽織る、スリッパを履くなど、体を冷やさない工夫だけでも取り入れてみてください。
根本的な対策は「家の断熱」
ヒーターは手軽な対策ですが、家全体の寒さを和らげるには、窓や壁の断熱も効果的です。窓に貼る断熱シートや、隙間風を防ぐグッズなら賃貸でも取り入れやすいでしょう。持ち家の場合は、内窓の設置や浴室のリフォームを検討する人もいます。自治体によっては省エネ改修の補助制度があるので、お住まいの市区町村のホームページも確認してみてください。
今日からできるヒートショック対策チェックリスト
- リビングと脱衣所に温度計を置いた
- 入浴前に脱衣所・浴室を暖めている
- 入浴前に水を1杯飲んでいる
- 食後すぐ・飲酒後の入浴を避けている
- 家族に一声かけてから入浴している
- 湯温と入浴時間を、温度計やタイマーで確認している
- 浴槽からゆっくり立ち上がっている
まとめ:ヒートショック対策は「温度差」と「声かけ」から
入浴中の事故は12月・1月に特に多く、11月から増え始めます。ポイントをおさらいします。
- 脱衣所・浴室を事前に暖め、温度差を温度計で確認する
- 入浴前の水分補給と、食後・飲酒後の入浴を避ける
- 熱すぎるお湯・長湯を避け、ゆっくり立ち上がる
- 家族と声をかけ合う習慣をつくる
どれも大がかりな準備はいりません。寒さが本格的になる前に、まずは温度計を1つ置くところから始めてみてくださいね。
参考にした情報
消費者庁「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」(令和7年12月23日):https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_084/assets/caution_084_251223_0002.pdf
「STOP!ヒートショック」プロジェクト 今シーズンの活動開始(PR TIMES、2026年10月1日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000037798.html
シロカ株式会社「グラフェンコートヒーター すみポカ」発売(PR TIMES、2026年9月25日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000279.000041147.html