「若い世代に商品を知ってもらいたいけれど、テレビCMや広告ではなかなか届かない」──そんな悩みを持つ企業やお店の担当者は多いのではないでしょうか。そこで注目されているのが、SNSで発信するインフルエンサーとの協業(インフルエンサーマーケティング)です。
2026年10月17日、株式会社ワカモノリサーチが、全国の14〜20歳の若者685名を対象にした「令和の若者の“インフルエンサー”について思うこと大調査!」の結果を発表しました。この記事では、その調査データをもとに、Z世代に向けたインフルエンサーマーケティングの考え方と始め方を5つのステップで整理します。あわせて、必ず押さえておきたいステマ規制のポイントも解説します。
調査概要|14〜20歳の若者685名に聞いた
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査期間 | 2026年7月6日〜7月14日 |
| 調査対象 | 全国の14歳〜20歳の若者(男女) |
| 有効回答数 | 685名 |
| 調査方法 | インターネットリサーチ |
| 調査機関 | 株式会社ワカモノリサーチ |
調査結果から見える3つのポイント
1. 約4人に3人が「芸能人よりインフルエンサー」に影響を受ける
「芸能人」と「インフルエンサー」のどちらに影響を受けるかという質問では、インフルエンサーが73.9%、芸能人が26.1%という結果でした。インフルエンサーを選んだ理由には「テレビよりTikTokやインスタをよく見るから」「年齢が近く、参考になりやすい人が多いから」といった声が挙がっています。
一方、芸能人を選んだ人からは「格が違う」「信頼が絶対にある」という声も。若い世代にとってインフルエンサーは「身近で参考にしやすい存在」、芸能人は「信頼感や特別感のある存在」と、役割が分かれていると読み取れます。
2. 85.5%が「インフルエンサーは職業として成り立っている」
インフルエンサーが職業として成り立っていると「思う」人は85.5%でした。収入を得ていることや、人に影響を与える仕事であることが理由として挙げられています。一方で「思わない」と答えた14.5%からは、不安定さや、稼げる人が一部に限られることを指摘する声がありました。
つまり若い世代は、インフルエンサーの投稿の中に「仕事としての発信」が含まれていることを前提に見ているともいえます。だからこそ、企業との関係を隠さず、正直に伝えることが信頼につながります。
3. 毎日投稿する人は「楽しそう」だけど「疲れてそう」
毎日投稿・配信するインフルエンサーへの印象では、「楽しそう」40.0%、「疲れてそう」23.3%、「充実してそう」22.1%、「幸せそう」7.5%、「辛そう」5.4%、「不安そう」1.8%という結果でした。華やかなイメージがある一方で、企画・編集・継続の大変さや、炎上・アンチへの不安を感じ取っている若者も少なくありません。
企業側から見ると、無理な投稿本数や過度な演出を求めないことが、インフルエンサーとの良い関係づくりにも、見る側の印象にもプラスに働きそうです。
Z世代向けインフルエンサーマーケティングの始め方5ステップ
調査結果をふまえて、これからインフルエンサーマーケティングに取り組む企業・お店向けに、基本の進め方を5つのステップにまとめました。
ステップ1:目的とゴール(KPI)を決める
まずは「何のためにやるのか」をはっきりさせます。新商品の認知を広げたいのか、ECサイトでの購入を増やしたいのか、来店を増やしたいのかで、選ぶインフルエンサーも見るべき数字も変わります。たとえば認知が目的なら再生数やリーチ数、購入が目的ならクーポンコードの利用数やリンクのクリック数、といった具合です。
ステップ2:届けたい相手と、使うSNSを決める
同じ若い世代でも、中高生と大学生・社会人1年目では、よく見るSNSも興味も違います。調査の自由回答でもTikTokやInstagramの名前が挙がっていましたが、自社の商品を買ってほしい人がどのSNSで、どんな投稿を見ているかを、実際にアプリを使って確かめてみるのがおすすめです。
ステップ3:フォロワー数より「近さ」と「相性」で選ぶ
調査では「年齢が近く、参考になりやすい」ことがインフルエンサーを選ぶ理由として挙がっていました。フォロワー数の多さだけでなく、ターゲットと年齢や生活スタイルが近いか、普段の投稿と自社の商品が自然になじむか、コメント欄で前向きなやりとりが生まれているか、といった点もチェックしましょう。
ステップ4:依頼内容は「伝えたいこと」と「自由度」をセットで
商品の特徴や必ず入れてほしい情報(価格、販売場所、PR表記など)は明確に伝えつつ、表現はインフルエンサー本人にある程度任せるのがコツです。台本どおりの不自然な投稿は、身近さという強みを消してしまいます。また、毎日投稿の大変さを感じている若者もいるように、発信する側の負担にも配慮したスケジュールを組みましょう。なお、未成年のインフルエンサーに依頼する場合は、保護者の同意を得るなど、より慎重な対応が必要です。
ステップ5:効果を測って、次に活かす
投稿が終わったら、ステップ1で決めた数字を振り返ります。どの投稿が反応を得たか、コメントにどんな声が寄せられたかを記録しておくと、次の企画の精度が上がります。うまくいったインフルエンサーとは、単発で終わらせず継続的な関係を築くと、フォロワーからの信頼も積み上がりやすくなります。
必ず押さえたい「ステマ規制」のポイント
インフルエンサーマーケティングで絶対に外せないのが、景品表示法のステルスマーケティング(ステマ)規制です。消費者庁の「ステルスマーケティングに関するQ&A」をもとに、要点をまとめます。
- 施行日:2023年(令和5年)10月1日から施行されています。
- 規制の対象は広告主:規制されるのは表示の内容の決定に関与した事業者(いわゆる広告主)です。依頼を受けて投稿するインフルエンサーやアフィリエイターは原則として対象外とされていますが、広告主と共同で商品を供給している場合などは対象になります。
- 表記の例:「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった言葉や、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章で、事業者の表示であることをわかるようにする方法が示されています。
- 表記の位置に注意:投稿の本文ではなく、ツリー(リプライ)にだけ「広告」と書くのは、明瞭とはいえない場合が多いとされています。
- 動画は全体を通してわかるように:冒頭だけの表記では見逃されるおそれがあり、画面上に常に「広告」と表示するなど、動画全体を通して明瞭にすることが望ましいとされています。
- 「お客様の声」への転載に注意:依頼して投稿してもらった内容を「お客様の声」として掲載するのは適当ではなく、掲載する場合は自社の依頼によるものだと明瞭に示す必要があるとされています。
調査で85.5%が「インフルエンサーは職業」と答えていたように、若い世代は企業とインフルエンサーの関係に敏感です。PR表記をきちんと入れることは、法律を守るためだけでなく、ブランドへの信頼を守るためにも大切です。判断に迷うときは、消費者庁の資料を確認したり、専門家に相談したりしましょう。
インフルエンサーマーケティングを学ぶなら
これから本格的に取り組むなら、SNSマーケティングやインフルエンサー施策の基本を体系的にまとめた本で全体像をつかんでおくと、社内での説明や企画書づくりにも役立ちます。発行年が新しく、ステマ規制にも触れているものを選ぶのがおすすめです。
まとめ:Z世代には「身近さ」と「正直さ」で届ける
ワカモノリサーチの調査では、14〜20歳の若者の73.9%が芸能人よりインフルエンサーに影響を受けると回答し、85.5%がインフルエンサーを職業として認めていました。若い世代にとってインフルエンサーは、年齢が近く参考にしやすい、身近な情報源です。
インフルエンサーマーケティングを始めるときは、①目的とKPI ②届けたい相手とSNS ③近さと相性での人選 ④伝えたいことと自由度のバランス ⑤効果測定と継続、の5ステップで進めてみてください。そしてPR表記はしっかりと。身近さと正直さを両立させることが、若い世代の信頼を得るいちばんの近道です。
参考にした出典
株式会社ワカモノリサーチ「【ワカモノリサーチ調査】令和の若者の“インフルエンサー”について思うこと大調査!」(PR TIMES、2026年10月17日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000255.000162122.html
消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/stealth_marketing/