ChatGPTやGeminiで調べものをしたり、Google検索の「AIによる概要」を読んで済ませたりする人が増えてきました。そうなると気になるのが、「AIの回答に自社の名前が出てこなかったら、商談のチャンスを逃しているのでは?」という問題です。
2026年10月15日、株式会社プロベルが、BtoB企業のマーケティング担当者・決裁者659名を対象にした「AI検索対策(AIO/LLMO等)」の実態調査を公表しました。この記事では、その調査結果とGoogleの公式ドキュメントをもとに、AI検索対策のやり方を「何から始めればいいか」がわかる順番で整理します。
調査でわかったBtoB企業のAI検索対策の現状
まずは、プロベルの調査(インターネット調査、2026年9月17日〜10月2日、有効回答659名)の主な結果を見てみましょう。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| AIO/LLMOなどの用語を知っている | 88.7%(「詳しく知っている」24.7%+「聞いたことがある程度」64.0%) |
| AI検索に表示されないことへのリスクを感じる | 82.7% |
| 営業機会の損失を体感したことがある | 77.0% |
| 現在、対策を行っている | 41.7%(行っていない53.4%、やめた4.9%) |
| 未実施企業のうち、今後前向きな回答 | 80.6% |
9割近くが言葉を知っていて、8割以上がリスクを感じているのに、実際に対策しているのは4割ほど。「必要なのはわかっているけれど、手をつけられていない」企業が多いことがわかります。
未実施の理由として多かったのは、「ノウハウ不足」49.1%、「ROIが不透明」42.3%、「リソース不足」38.6%でした。つまり、多くの担当者が「何をすれば効果があるのか」で止まっているのです。
そもそもAI検索対策(AIO・LLMO)とは
AI検索対策とは、ChatGPTやGemini、GoogleのAIによる概要(AI Overviews)・AIモードなど、生成AIが答える検索体験の中で、自社の情報が正しく取り上げられるようにする取り組みのことです。AIO(AI Optimization)、LLMO(Large Language Model Optimization)、GEOなど、さまざまな呼び方がありますが、目指すところはほぼ同じです。
まず押さえたいGoogleの公式見解
AI検索対策というと、「AI専用の特別な施策が必要なのでは」と思いがちです。しかし、Google検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」というドキュメントでは、AIによる概要やAIモードに表示されるために追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もないと明記されています。AI向けの新しいファイルやマークアップ、特別な構造化データも不要とされています。
表示の対象になる条件は、ページがインデックスに登録され、通常の検索でスニペットが表示できる状態で、検索の技術要件を満たしていることです(ただし表示が保証されるわけではありません)。つまり、Googleに関しては「SEOの基本をきちんとやること」がそのままAI検索対策になると考えるのが自然です。
なお、ChatGPTなどGoogle以外のAIサービスは、それぞれ仕組みや情報の取り方が異なります。ここではGoogleの公式情報をベースにしつつ、どのAIにも共通して効きやすい施策を中心に紹介します。
AI検索対策のやり方|5つのステップ
ステップ1:クロールとインデックスの土台を確認する
Googleは、robots.txtだけでなく、CDNやホスティング側の設定でもクロールを許可しておくことを推奨しています。せっかく良い記事があっても、AIが読みに来られなければ意味がありません。Search Consoleでサイトを確認し、重要なページがインデックスされているか、技術的なエラーがないかを最初にチェックしましょう。内部リンクで重要なページにたどり着ける構造にしておくことも大切です。
ステップ2:一次情報を増やす
プロベルの調査で、対策を行っている企業が実施していた施策の上位は「自社サイト情報の拡充」68.4%、「一次情報の拡充」61.1%でした。自社の導入事例、独自のアンケート結果、現場のノウハウなど、自社にしか書けない情報を増やすことが、AIに「引用したい情報源」として選ばれる近道になります。
ステップ3:重要な情報は「テキスト」で、わかりやすく書く
Googleは、重要なコンテンツをテキストで提示することを推奨しています。料金・対応エリア・導入までの流れ・よくある質問など、顧客がAIに聞きそうなことは、画像やPDFの中だけでなくページの本文に文章で書いておきましょう。「〇〇とは?」「費用はいくら?」のように、質問と答えの形で整理するのも効果的です。
ステップ4:構造化データ・ビジネス情報を正しく保つ
構造化データを使う場合は、ページに表示されている内容と一致させることがGoogleの推奨です。あわせて、Googleビジネスプロフィールや、ECならMerchant Centerの情報も最新に保ちましょう。社名・所在地・サービス内容がサイトごとにバラバラだと、AIが正しく理解しにくくなります。
ステップ5:計測して、自社がどう答えられているか定点観測する
Googleによると、AI機能経由の表示やクリックは、Search Consoleの「検索タイプ:ウェブ」のパフォーマンスレポートに含まれます。コンバージョンや滞在時間はGoogleアナリティクスなどで確認できます。
さらに、自社の名前を含まない質問(例:「中小企業向けの〇〇ツールのおすすめは?」)をいくつか用意し、ChatGPTやGeminiに定期的に聞いてみるのもおすすめです。Queue株式会社が2026年10月7日に公表した調査でも、社名を含まない質問を各領域100件Geminiに投げ、回答に登場した企業や引用リンクを集計する方法がとられていました。同社も、回答はモデルの更新や質問の表現、実行時期によって変わると注意書きしているので、1回の結果で判断せず、同じ質問で継続的に確認するのがポイントです。
対策をやめた企業から学ぶ注意点
調査では、対策を「行っていたがやめた」企業も4.9%ありました。その理由は「期待した効果が出なかった」59.4%、「費用対効果が合わなかった」56.2%です。
一方で、効果を実感している割合は、対策を半年以上継続した企業で83.2%、半年未満の企業で65.1%と差がありました。AI検索対策はSEOと同じく、すぐに結果が出るものではありません。最初から高額な外注に頼るより、まずは社内でできる「一次情報の追加」「よくある質問の整備」「計測」から始めて、半年ほどのスパンで見ていくのが現実的です。
ちなみに、外注している企業の月額費用は「10万〜30万円未満」が40.6%で最多でした。外注を検討する場合は、施策内容と計測方法を事前にすり合わせておくと、「効果が見えない」というズレを防ぎやすくなります。
AI検索やこれからのSEOを体系的に学びたい人は、関連書籍もチェックしてみてください。
LLMO・生成AI時代のマーケティングに関する本はこちら。
まとめ:AI検索対策は「SEOの基本+一次情報+継続」
プロベルの調査では、BtoB担当者の82.7%がAI検索に表示されないリスクを感じている一方、対策できているのは41.7%にとどまっていました。止まっている理由の多くは「何をすればいいかわからない」ことです。
Googleの公式見解では、AIによる概要やAIモードのために特別な最適化は不要とされています。だからこそ、①クロール・インデックスの確認 ②一次情報の拡充 ③重要情報のテキスト化 ④構造化データ・ビジネス情報の整備 ⑤計測と定点観測の5ステップを、半年単位で地道に続けることが、いちばん確実なAI検索対策のやり方だと僕は考えています。
参考にした出典
株式会社プロベル「BtoBマーケティングにおけるAI検索対策(AIO/LLMO等)実態調査」(PR TIMES、2026年10月15日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000176317.html
Google検索セントラル「AI機能とウェブサイト」:https://developers.google.com/search/docs/appearance/ai-overviews?hl=ja
Queue株式会社「LLMOナビにて35領域の2026年10月調査を公開」(PR TIMES、2026年10月7日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000147944.html