電気代が気になる季節になると、「エアコンの風量は『弱』にしておけば節約になる」と考える人は多いのではないでしょうか。
ところが、2026年10月22日にパナソニックが発表した検証では、暖房を風量「弱」で運転すると、室温が20℃に届くまでに約40分長くかかり、消費電力量は約60%増えたという結果が出ました。よかれと思った節電が、かえって電気代を増やしていたかもしれません。
この記事では、パナソニックの検証・調査と資源エネルギー庁の省エネ情報をもとに、エアコン暖房を節約するコツと、やりがちな「節電NG行動」を整理します。
今冬は56%が「暖房をガマンしたい」
パナソニックがエアコンを持つ20〜60代の553人に聞いた調査(2026年10月1日〜8日、インターネット調査)では、家計の負担感が強く出ていました。
| 質問 | 割合 |
|---|---|
| 電気料金の値上げ負担を感じる | 81% |
| 家計に余裕がない | 67% |
| 今冬は暖房利用をガマンしようと思う | 56% |
| 昨冬に暖房利用をガマンした | 47% |
ガマンする暖房器具(複数回答)は、エアコンが60%で最多でした。冬のエアコン節電対策としては「設定温度を低くする」36%、「厚着をする」31%、「エアコンを極力使用しない」27%が上位です。
一方で、「エアコンフィルターの掃除をする」は17%、「風量を自動に設定する」は15%、「サーキュレーターや扇風機を併用する」は11%にとどまっていました。実は、このあまり実践されていない3つこそが、今回のポイントです。
検証でわかった「節電NG行動」2つ
パナソニックは、約14畳の環境試験室で、外気温2℃・設定温度23℃の条件で暖房運転を行い、室温が2℃から20℃になるまでの時間と消費電力量を比べました。
| 条件 | 20℃到達までの時間 | 消費電力量 |
|---|---|---|
| フィルターきれい・風量自動(基準) | — | — |
| フィルター汚れ(1年相当)・風量自動 | 約1.3分長い | 約10%増加 |
| フィルターきれい・風量「弱」 | 約40分遅い | 約60%増加 |
NG1:最初から風量を「弱」にする
風量「弱」では暖かい空気が足元まで十分に届かず、足元の温度にも差が出たとされています。暖房は立ち上がりで設定温度に早く到達させることが省エネのポイントで、そのためには十分な風量が必要です。「弱」で長時間かけて暖めるより、「自動」で一気に暖めて、あとはエアコンに任せたほうが効率がよいということです。
NG2:フィルターを掃除しない
1年分の汚れがたまったフィルターでは、風量が約9%低下し、消費電力量は約10%増えました。資源エネルギー庁の情報をもとにした東京電力エナジーパートナーの省エネページでも、フィルターを月に1〜2回掃除すると、年間約990円の節約(エアコン2.2kW、目詰まりしたフィルターとの比較)になる目安が紹介されています。
エアコン暖房の節約術5つ
1. 風量は「自動」にする
検証結果のとおり、風量は「自動」が基本です。立ち上がりはしっかり風を出し、部屋が暖まったら弱めるという調整を、エアコンが自動でやってくれます。
2. フィルターを月1〜2回掃除する
フィルターはホコリを掃除機で吸い取るのが手軽です。汚れがひどいときは水洗いし、よく乾かしてから戻します。お手入れ方法は機種ごとに違うので、取扱説明書を確認してください。
3. 設定温度は上げすぎない(室温20℃が目安)
東京電力エナジーパートナーの省エネページでは、冬の暖房時の室温は20℃を目安にすることがすすめられています。設定温度を21℃から20℃にすると、年間約1,650円の節約になるという目安です(外気温6℃、エアコン2.2kW、1日9時間使用の場合)。
ただし、ガマンしすぎは禁物です。パナソニックの発表では、WHOが冬の室温を18℃以上に保つことを推奨していることにも触れ、過度なガマンは室内環境の悪化や体調不良につながるおそれがあるとしています。
4. サーキュレーターで暖気を足元へ
暖かい空気は天井近くにたまりやすいので、サーキュレーターで空気を循環させると、足元まで暖まりやすくなります。エアコンの風が届きにくい場所や、天井が高い部屋では特に試してみたい方法です。
5. 必要なときだけつける・こまめにオンオフしすぎない
同じく省エネページでは、暖房を1日1時間短くすると年間約1,260円の節約という目安が出ています。外出前に早めに切る、帰宅前にタイマーで暖めておくなど、使う時間を見直してみましょう。
一方で、暖房は立ち上がりに電力を多く使うため、短い時間で何度もオンオフを繰り返すのは避けたいところです。「少し部屋を離れるだけなら付けたまま、長く空けるなら切る」と、自分なりのルールを決めておくと迷いません。
最新エアコンの省エネ機能もチェック
パナソニックの発表では、自社エアコンの機能として次のようなものも紹介されています。
- サーキュレーションモード:同社の独自条件(外気温2℃、設定温度25℃、風量自動など)で、1時間の積算消費電力量が517Whから494Whに減ったとしています
- エネチャージノンストップ暖房:霜取り運転中も暖房を止めずに運転できるとしています(霜の付着量が多い環境では止まる場合あり)
古いエアコンを使っていて買い替えを考えているなら、こうした暖房向けの機能も比べてみると選びやすくなります。
エアコン暖房の節約 よくある質問
Q. 「弱」運転はいつも損なの?
今回の検証は、寒い部屋を暖める立ち上がり時の比較です。部屋が暖まったあとの運転まで「弱」がだめだという結果ではありません。風量を「自動」にしておけば、暖まったあとは自然に風量が下がります。
Q. 厚着とエアコン、どちらを優先すべき?
厚着やひざ掛けで体感温度を上げるのは、設定温度を上げすぎないためにも有効です。そのうえで、室温が下がりすぎないようにエアコンを上手に使う、という組み合わせがおすすめです。
まとめ:ガマンより「正しい使い方」で節約
- 今冬は56%が暖房をガマンしたいと回答
- 風量「弱」は20℃到達が約40分遅れ、消費電力量は約60%増(パナソニック検証)
- フィルター汚れでも消費電力量は約10%増。月1〜2回の掃除を
- 室温は20℃が目安。ただしガマンしすぎず、WHOの推奨する18℃以上は保つ
- サーキュレーター併用や、使う時間の見直しも効果的
「弱にすれば節約」という思い込みを手放して、風量は自動・フィルターはきれいに。今日からできる2つの見直しで、暖かさと電気代のバランスをとっていきましょう。
参考にした出典
パナソニック株式会社「節電のつもりが逆効果?暖房の節電NG行動をパナソニックが検証。風量『弱』で暖まりが約40分遅れ、消費電力量は約60%増加」(PR TIMES、2026年10月22日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001253.000024101.html
東京電力エナジーパートナー「省エネ・節電のコツ」(資源エネルギー庁ウェブサイト、経済産業省「無理のない省エネ節約」をもとに作成。料金単価31円/kWhで試算):https://www.tepco.co.jp/ep/private/savingenergy/