【2025年調査】DX推進企業が過去最高の7割に|AI活用は「全社展開」が倍増、中小企業との格差も鮮明に

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「うちの会社のDX、他社と比べてどうなんだろう」「AI活用って実際どこまで進んでいるの?」と気になっていませんか。

タナベコンサルティンググループが実施した「2025年度 デジタル経営に関するアンケート」の結果が発表されました。

調査によると、DX推進・デジタル活用に取り組んでいる企業は約7割で過去最高を記録。一方で、AI活用では「全社的に活用」が昨年比12.5%増となるも、企業規模による格差が鮮明になっています。

本記事では、調査結果の詳細に加え、中小企業がDXを推進するためのポイントや生成AIの導入動向まで解説します。

調査結果サマリー|DX推進が過去最高、AI活用は倍増

今回の調査で明らかになった主なポイントは以下の3つです。

2025年度デジタル経営調査結果

  • DX推進・デジタル活用に取り組む企業は約7割(過去最高)
  • AI「全社的に活用」が24.7%(昨年12.2%から12.5%増)
  • AI「活用予定なし」はわずか3.5%

それぞれ詳しく見ていきましょう。

約7割がDX推進・デジタル活用に取り組んでいる

DX推進(全社的に高度に推進・一部の部門で高度に推進)や、デジタル活用(複数の業務で活用・一部の業務で活用)に取り組んでいる企業の割合は全体の約7割を占め、過去最高となりました。

DX推進状況

企業規模による差が明確に

企業規模別に見ると、DX推進の進捗には明確な差があります。

企業規模 全社的に高度に推進 全体的に不十分
大企業 20.5%
中堅企業 9.1%
中小企業 5.5% 30.3%

中小企業では「全体的に不十分」が30.3%と高く、DX推進の進捗には企業規模による差が存在していることがわかります。

DX戦略は「場当たり的」が最多|中小企業で顕著

DX戦略の策定状況について聞いたところ、以下の結果となりました。

DX戦略の策定状況

DX戦略の状況 割合
デジタル施策は場当たり的に進めている 30.6%
DX戦略はあるが推進度に課題がある 28.1%
ビジョンと紐づいたDX戦略を推進している 約10%

💡 ポイント
「DX戦略はあるが推進度に課題がある」は2023年の19.0%から28.1%へ上昇。実行段階に入った企業が増えている一方で、戦略を明確に定めた上での推進には至っていない企業が多いことがわかります。

DX推進体制|大企業の半数が「専任部門あり」

DX推進体制について聞いたところ、以下の結果となりました。

DX推進体制

企業規模 DX推進部門を保有(専任あり) 明確な体制はない
大企業 45.5%
中小企業 46.9%

大企業では約半数が専任体制を整備している一方、中小企業では約半数が「明確な体制はない」と回答。体制整備の遅れが目立ちます。

AI活用は「全社展開」が倍増|ただし個人利用が最多

AI活用についての設問では、大きな変化が見られました。

AI活用状況

「全社的に活用」が昨年比で倍増

AI活用状況 2024年 2025年
全社的に活用 12.2% 24.7%
個人レベルでの利用に留まっている 31.4%
活用予定はない 3.5%

「全社的に活用」が昨年比で倍増した一方、最も多いのは「ガイドラインはなく、個人レベルでの利用に留まっている」(31.4%)でした。

企業規模によるAI活用格差

企業規模別に見ると、AI活用にも大きな差があります。

  • 大企業・中堅企業:「全社的に活用」が約4割
  • 中小企業:「個人レベルの利用」が42.8%と突出

✨ 注目ポイント
AI活用は「個人利用」から「全社展開」へと発展の途上にあります。ただし、「活用予定なし」はわずか3.5%にとどまり、ほとんどの企業がAI活用に関心を持っていることがわかります。

新規事業へのデジタル活用|約8割が「実践できていない」

新規事業・サービス開発へのデジタル活用について聞いたところ、以下の結果となりました。

新規事業へのデジタル活用

状況 割合
検討段階にある 35.4%
特に予定はない 35.1%
既に活用している 17.0%

実際に活用まで進んでいる企業は2割弱にとどまり、多くの企業は検討段階にあります。

大企業では「既に活用している」が31.8%と比較的高い一方、中小企業では「特に予定はない」が47.6%と約半数を占めています。

データ活用の課題|「データはあるが活用できていない」

人材データ活用は「基盤整備」が課題

人材データ活用

人材データを活用した人事・組織マネジメントについて、最も多い回答は「データ基盤が整っていない」(25.7%)でした。

「人材データをもとに施策立案・配置・育成等を実施している」はわずか6.3%。中小企業では「データ基盤が整っていない」が37.2%と突出しています。

経営判断へのデータ活用も課題

経営判断へのデータ活用

「データは蓄積されているが活用しきれていない」は2024年の21.2%から2025年は35.1%へ上昇。データは整備されつつも、実際の意思決定への反映には課題が残っています。

オペレーション・営業領域のデジタル活用

オペレーション領域は「AI」「IoT」が中心

オペレーション領域のデジタル活用

取り組み内容 割合
AI活用による契約書作成・レビュー業務の効率化 42.7%
IoTによるデータ収集プロセスの無人化 40.6%
ロボット導入による省力化・省人化 35.1%

大企業では「IoTによるデータ収集プロセスの無人化」が59.1%と突出して高く、業務効率化や判断精度の向上を図る動きが見られます。

営業・マーケティング領域は「活用度」に課題

営業・マーケティング領域のデジタルツール

営業・マーケティング領域におけるデジタルツールは、「導入が進んでいない企業が半数近く」を占めています。

「複数のツールを導入し、効果的に活用している」はわずか4.2%。大企業ではツール導入は進んでいるものの運用段階に課題があり、中小企業では「特に導入予定はない」が46.2%と最も高い結果となりました。

【補足調査】生成AIの導入状況|国内外の動向

今回の調査結果を補完するため、生成AIの導入状況についても見ておきましょう。

国内企業の生成AI導入率は約6割

野村総合研究所の「IT活用実態調査(2025年)」によると、生成AIを導入済みの企業は57.7%。2023年度の33.8%、2024年度の44.8%から着実に増加しています。

年度 生成AI導入率
2023年度 33.8%
2024年度 44.8%
2025年度 57.7%

日本は海外に比べて導入が慎重

総務省の調査によると、生成AIの活用方針を定めている企業の割合は、米国・ドイツ・中国では8割以上であるのに対し、日本は約4割にとどまっています。

日本企業は社内向け業務から慎重な導入が進められている傾向があり、海外企業との差が課題となっています。

生成AI活用の課題は「人材のスキル不足」

生成AI活用に関わる課題として、企業の70.3%が「リテラシーやスキル不足」と回答しています(NRI調査)。

導入が進んだ結果、実際に業務で活用するためには一定のスキルが必要であると認識した企業が増えていることがうかがえます。

中小企業がDXを成功させるためのポイント

調査結果から、中小企業のDX推進には課題が多いことがわかりました。ここでは、中小企業がDXを成功させるためのポイントを解説します。

① 「身の丈DX」から始める

多額の投資をして一挙に解決しようとするのではなく、社内のボトルネックを特定し、できるところから必要最小限の取り組みを行うことが成功のカギです。

経済産業省も「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き」で、必要最小限の取り組みからDXを進める「身の丈DX」を推奨しています。

② 推進担当を明確にする

中小企業庁の調査によると、DX推進担当を設置している企業は、そうでない企業と比べて取り組み状況が進展している傾向があります。

専任でなくても、まずは責任者を明確にすることが重要です。

③ 補助金・支援策を活用する

DX推進にあたっての課題として「費用の負担が大きい」という声が多く挙がっています。

国や自治体が提供する補助金・助成金を活用することで、初期投資の負担を軽減できます。IT導入補助金やものづくり補助金などを検討しましょう。

④ 情報収集を積極的に行う

DX推進の進捗が高い企業は、競合他社の動向を意識し、積極的に情報収集を行っている傾向があります。

書籍やセミナー、業界の成功事例を参考にしながら、自社に合ったDXの形を模索しましょう。

まとめ:DXは「導入」から「定着」への移行期

今回の調査結果から、企業のDX推進は着実に広がる一方で、領域や企業規模によって進度に差が生じていることが明らかになりました。

調査結果のまとめ

  • DX推進・デジタル活用に取り組む企業は約7割(過去最高)
  • DX戦略は「場当たり的に進めている」が最多(30.6%)
  • 大企業の約半数がDX推進の専任部門を保有
  • AI「全社的に活用」は昨年比で倍増(12.2%→24.7%)
  • AI活用は「個人レベルの利用」が最多(31.4%)
  • 新規事業へのデジタル活用は約8割が実践できていない
  • データは蓄積されつつも活用には課題

DXは導入から定着への移行期にあり、部分的な最適化から全社的な推進体制への転換が今後の焦点となります。

特に中小企業では、「身の丈DX」から始め、推進担当の明確化、補助金の活用、情報収集の強化を意識することで、着実にDXを進めていくことが重要です。


調査概要

  • 調査方法:インターネットによる回答
  • 調査期間:2025年9月16日〜10月10日
  • 調査エリア:全国
  • 有効回答数:288件
  • 実施主体:株式会社タナベコンサルティンググループ

※本調査では、従業員規模2000人超を大企業、300人超〜2000人以下を中堅企業、300人以下を中小企業として分類。